今朝の「木村達也 ビジネスの森」のゲストは、『ニュース、みてますか?』の著者でNHKプロデューサーの杉江義浩さん。
NHKの人気番組、番組「週刊こどもニュース」をお父さん役の池上彰さんと一緒に立ち上げ、8年間ディレクターを努めた杉江さん。通常、ニュース番組は報道局が制作するが、杉江さんは「お母さんといっしょ」などの教育番組を担当していたディレクターである。
「週刊こどもニュース」は、もともとは局の上からのお達しでスタートした番組ということだが、報道局で記者をしていた池上さんがその後、一躍テレビメディアの寵児になったのは番組を制作していた杉江さんの力も大きいに違いない。
正直言って、僕はNHKのニュース番組ほどつまらないものはないと思っている。しかしそうは言いつつ、夜7時のニュースは毎日ビデオに撮って夜中に早まわしに見ている。つまらなくても、それが日本の最大公約数的なニュース報道だろうと考えているから、いちおう抑えておくため。
「街角の声を聞きました」的な、新橋の機関車広場でのサラリーマンへのインタビューや、銀座4丁目での奥様へのインタビュー、何か催し物があった会場での小さなこどもへのインタビュー(?)には、毎度首を傾げてしまう。対象に媚びている様子が見えて、ジャーナリズムとはまったく異質なものを感じるからだ。
その点、「週刊こどもニュース」は番組として毎週ひねりが利いていた。こどもたちのキャスティングもよかった。彼らは、総理大臣と大統領はどう違うのか、貧しい人たちを救うには国がお金をどんどん刷って渡せばいいんじゃないかとか、大人たちが分かった気になっている素朴でいて興味津々な質問を投げかける。
杉江さんら番組スタッフは、限られた時間で子どもたちのそれらの疑問にどうやって分かりやすい回答をするか、毎週ずいぶん頭を悩ましたらしい。
視聴者に的確に分かりやすく伝えようという意欲と細心の注意が垣間見える、きわめて優れた教育娯楽番組だった。
今朝の一曲に選んだのは、ランディ・ニューマンで Sail Away。
2015年10月31日
2015年10月27日
境界を越える、結ぶ
最近、学生と面談する機会が多い。
仕事をしながら大学院に通っている彼らなので、授業がない曜日の夕方に研究室や街中のカフェで会う。そして彼らに今どんな仕事をしているのかとか、これからどんなキャリアを考えているのかなど聞く。
そうした場でときおり、彼らからどうしてビジネススクールの教授がラジオ番組のパーソナリティをしているのか質問を受ける。好きだからやっているという答えだけではどうも納得してくれないようだ。
ぼくの狙いは、大学とメディアを結ぶこと、またアカデミズムとビジネスをつなぐこと。だからラジオ番組を持ったり、企業の社外取締役を引き受けている。思い返せば、昔からマージナルな領域に立つことでひとつの立場に縛られない自分なりの考えを得てきたように思う。
一所懸命というのはどうも性に合わない。自分で自分を揺さぶりながら、その時々の目標を設定していくのがいい。
仕事をしながら大学院に通っている彼らなので、授業がない曜日の夕方に研究室や街中のカフェで会う。そして彼らに今どんな仕事をしているのかとか、これからどんなキャリアを考えているのかなど聞く。
そうした場でときおり、彼らからどうしてビジネススクールの教授がラジオ番組のパーソナリティをしているのか質問を受ける。好きだからやっているという答えだけではどうも納得してくれないようだ。
ぼくの狙いは、大学とメディアを結ぶこと、またアカデミズムとビジネスをつなぐこと。だからラジオ番組を持ったり、企業の社外取締役を引き受けている。思い返せば、昔からマージナルな領域に立つことでひとつの立場に縛られない自分なりの考えを得てきたように思う。
一所懸命というのはどうも性に合わない。自分で自分を揺さぶりながら、その時々の目標を設定していくのがいい。
2015年10月17日
好きだからこその、辛口コメント
今朝の「木村達也 ビジネスの森」は、『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』(講談社)の著者、デービッド・アトキンソンさん。
4月に続いて2回目のゲスト出演である。相変わらず、歯に衣着せぬ歯切れのいい日本への辛口のコメントをうかがった。
彼はいろんなエピソードを語ってくれたのだけど、煎じ詰めれば彼が感じている「おかしい日本」というのは次の2つかな。それらは、日本人の一貫性のなさ(ご都合主義)と生産性の低さ。
もちろんそうしたところって日本だけの話ではないことを彼はよく知っているのだけど、彼が気になってしかたないところは、それらについていつまでたっても日本人が気付かず、変えようとしないこと。
この本を出した後、ずいぶんと読者から「大きなお世話だ」という反応が帰ってきたそうだ。だけど彼は真の確信犯、それで口をつぐんだりしない。自分はしつこいタイプの人間だと入ってはばからない。そうした点が、僕が強く共感を感じるところだ。
今朝の一曲は、スティービー・ワンダーの「迷信」。
4月に続いて2回目のゲスト出演である。相変わらず、歯に衣着せぬ歯切れのいい日本への辛口のコメントをうかがった。
彼はいろんなエピソードを語ってくれたのだけど、煎じ詰めれば彼が感じている「おかしい日本」というのは次の2つかな。それらは、日本人の一貫性のなさ(ご都合主義)と生産性の低さ。
もちろんそうしたところって日本だけの話ではないことを彼はよく知っているのだけど、彼が気になってしかたないところは、それらについていつまでたっても日本人が気付かず、変えようとしないこと。
この本を出した後、ずいぶんと読者から「大きなお世話だ」という反応が帰ってきたそうだ。だけど彼は真の確信犯、それで口をつぐんだりしない。自分はしつこいタイプの人間だと入ってはばからない。そうした点が、僕が強く共感を感じるところだ。
今朝の一曲は、スティービー・ワンダーの「迷信」。
2015年10月6日
多住居生活のススメ
10月3日(土)放送の「木村達也 ビジネスの森」には、『週末は田舎くらし』(ダイヤモンド社)の著者、馬場未織さんにゲストに来てもらった。
彼女は東京生まれ、東京育ち。ご主人も同様らしい。都会で生まれ育ち、帰郷する田舎を持たずに育ったわけだが、そのことで残念に思ったり、悲しいと感じたことはなかったという。
ところが、彼女の長男が無類の生き物好きで、どうもそうした彼を自然の中に「戻してやりたくて」南房総の中山間地の土地と農家を手に入れたという。
家族5人、平日は自由ヶ丘近くの家で過ごし、金曜日の夜になると家族プラス猫2匹がクルマに乗り込み環状八号線を羽田方向へ向かい、アクアラインを抜けて南房総のもう一つの家へ。
8700坪という広大な土地には小川が流れ、ちょっとした山もあるらしい。田んぼや畑だけでなく、ほとんど手つかずのような自然に溢れている。
今後は、子どもたちが大きくなるにつれて家族5人で毎週南房総へ、とは行かなくなるかもしれない。その時は、馬場さんご夫婦2人だけでその地を訪ねることになるのだろう。しかし、その時はその時でいいように思った。
家を複数持つというと、なんだか金持ちっぽくて贅沢に聞こえるかもしれない。だが、これから人口の減少と高齢者の暮らし方の変化によって、全国津々浦々で大量の無人住居が出てくることが予想される。
そうした家は、これまでになく安く購入することができるようなるはずだ。あるいは、買わずに借りるという手もある。田舎の家だと田んぼや畑が付いてくることも多いだろう。都会人たちは、週末や休みをそうした土のある場所で過ごせばいい。
そして逆に、田舎で普段暮らし、仕事をしている人たち、特に若い人たちは週末を都会の空き屋をうまく使いながら楽しめばいいのだ。
そうして、誰もが多住居生活をもっと簡単にできるようになればといいと僕は考えている。誰も住まなくなった家はあっという間に荒れ果て、一旦そうなるとなかなか人が暮らそうと思う状態には戻せない。
それに何よりも、生活空間を変えるといとも簡単に人の気持ちは変わる。これは僕自身、実証済みだ。リフレッシュできるし、新しい刺激をそのなかで確実に得ることができる。
国は、そうしたセカンドハウスの取得と利用を促すよう税制などを改定すべき時に来ていると思うのだが、どうだろう。もっと多くの人たちが、週末は田舎暮らしを楽しむようになればいいし、あるいは田舎にこだわることもなく、週末はもう一つの暮らし、となればそれはそれでいい。
今朝の番組での選曲は、Jessey Norman Sings Michel Legrandから「おもいでの夏」。
彼女は東京生まれ、東京育ち。ご主人も同様らしい。都会で生まれ育ち、帰郷する田舎を持たずに育ったわけだが、そのことで残念に思ったり、悲しいと感じたことはなかったという。
ところが、彼女の長男が無類の生き物好きで、どうもそうした彼を自然の中に「戻してやりたくて」南房総の中山間地の土地と農家を手に入れたという。
家族5人、平日は自由ヶ丘近くの家で過ごし、金曜日の夜になると家族プラス猫2匹がクルマに乗り込み環状八号線を羽田方向へ向かい、アクアラインを抜けて南房総のもう一つの家へ。
8700坪という広大な土地には小川が流れ、ちょっとした山もあるらしい。田んぼや畑だけでなく、ほとんど手つかずのような自然に溢れている。
今後は、子どもたちが大きくなるにつれて家族5人で毎週南房総へ、とは行かなくなるかもしれない。その時は、馬場さんご夫婦2人だけでその地を訪ねることになるのだろう。しかし、その時はその時でいいように思った。
家を複数持つというと、なんだか金持ちっぽくて贅沢に聞こえるかもしれない。だが、これから人口の減少と高齢者の暮らし方の変化によって、全国津々浦々で大量の無人住居が出てくることが予想される。
そうした家は、これまでになく安く購入することができるようなるはずだ。あるいは、買わずに借りるという手もある。田舎の家だと田んぼや畑が付いてくることも多いだろう。都会人たちは、週末や休みをそうした土のある場所で過ごせばいい。
そして逆に、田舎で普段暮らし、仕事をしている人たち、特に若い人たちは週末を都会の空き屋をうまく使いながら楽しめばいいのだ。
そうして、誰もが多住居生活をもっと簡単にできるようになればといいと僕は考えている。誰も住まなくなった家はあっという間に荒れ果て、一旦そうなるとなかなか人が暮らそうと思う状態には戻せない。
それに何よりも、生活空間を変えるといとも簡単に人の気持ちは変わる。これは僕自身、実証済みだ。リフレッシュできるし、新しい刺激をそのなかで確実に得ることができる。
国は、そうしたセカンドハウスの取得と利用を促すよう税制などを改定すべき時に来ていると思うのだが、どうだろう。もっと多くの人たちが、週末は田舎暮らしを楽しむようになればいいし、あるいは田舎にこだわることもなく、週末はもう一つの暮らし、となればそれはそれでいい。
今朝の番組での選曲は、Jessey Norman Sings Michel Legrandから「おもいでの夏」。
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