2025-12-13

しーちゃんのこと

ふた月ほど前のある日、近くでノラの猫と、のちにその飼い主になる若い女性と知り合った。

鶴見川水系の一つである鳥山川沿いの道を自転車で走っていたとき、橋のたもとで女性がしゃがみ込んで猫を撫でているのが目に入った。

この近くにはノラたちが何匹かいて、地域の猫好きの人たちによって世話をしてもらっているので猫たちもそれなりに人に慣れているのだ。

きょうも通りすがりの猫好きの人がそうした猫の一匹を愛でてやっているのだろうと思って通り過ぎたが、なぜか気になって自転車を止め、通り過ぎた場所へ戻った。

彼女にどうかしたのか訊ねると、猫が怪我をしているという。見てみると、鼻の先がない。鼻がぽっくりとえぐれているのである。しかも、からだ全体はガリガリで極度に衰弱し、ほとんど動かない。これはただ事じゃない。

彼女は、前日もこのニャンと同じ場所で会っていて、その時から具合が悪そうだったのが気になってこの日も様子を見に来たのだという。 

ノラ猫をどう面倒みるかは難しい。行動を起こせばその結果があり、相手が生き物だけに行動には責任がともなう。

ちょっとした逡巡はあったが、その場に放置すれば翌日にはこの猫はおそらく死んでいるだろうと思ったので、動物病院にそのOさんとで連れて行くことにした。歩いて10分ほどのところに、新しく開業した動物病院があることを思い出したから。

プール帰りの僕のリュックにはバスタオルが入っていたので、ニャンをそれで包んで病院に持ち込む。まったくの初診、しかも持ち込んだのがノラなので受付の女性から訝られるが、そこは押し切る。

そうして獣医に観てもらったが、怪我の具合と全身の衰弱がひどすぎるのでその病院では対応しきれないと言われ、妙蓮寺駅にある治療体制の整った大型の動物病院の名を紹介される。 

突然ノラを持ち込んでもまたそこでも受付で時間を取られると思ったので、その場でその動物病院に電話をかけ、途中で目の前にいる獣医師にスマホを渡して獣医師間で状況をできる限り詳しく伝えてもらった。

タクシーをつかまえ、妙蓮寺駅近くのF動物病院へ向かった。そこで数時間かけ念入りに検査をしてもらう。免疫異常、胆嚢種、リンパ種、腎臓肥大、肝臓異常、その他覚え切れないほどの症状を伝えられる。鼻先がもがれて軟骨が完全になくなっているのは、原因がはっきり分からない。外的な力による損傷なのか、体内の感染症からなのか。

特に問題だったのが、赤血球数の減少がはげしかったこと。極度の貧血状態にあり、先生に勧められて輸血をしてもらい、そのまま入院。歳は4歳から10歳くらいの間だろうと言われた。その年齢の幅の広さが、これまで生きのびてきた環境の過酷さを物語っている。

僕が川っぷちで会ったOさんは、そうしたなかで旦那さんと連絡を取り、保護猫としてのちに「しーちゃん」と呼ばれるその猫を受け入れる覚悟を決めた。

そのまま数日間入院し、退院。Oさんらに大切に面倒をみてもらい、少しずつだけど体重も増えてきた。そうして彼女からときどきしーちゃんの写メがスマホに届く。

あるとき、彼女からまた手術をすることになったという連絡がきた。栄養状態が改善して全身の体毛が伸びてきたのだけど、シッポだけまったく毛が伸びないので動物病院で診てもらったらシッポが壊死していると言われたのだ。

原因は、シッポの根元に輪ゴムかタコ糸のようなものできつく縛られていた跡があったことから、そのせいでシッポが壊死していたのだろうと。骨には異常がなかったので、レントゲン検査では気がつかなかったらしい。

そして、壊死したシッポを切断することに。赤血球数がまだ回復していないので、切断手術後には強度の貧血を再発した。いやはやニャンとも大変である。

シッポが切断されてなくなり、手術のためにお尻のまわりの毛をすっかり刈り取られたしーちゃんの写真が送られてきたときは、なんとも言えない気持になった。

輪ゴムだかタコ糸だか分からないが、誰が何のためにそんな悪さをしたのか、強い怒りが沸く。

振り返って思うのは、もしこの猫が人間に強い警戒感を持っていて人に近づくことなどなかったら、こんな酷い目に遭わされることはなかったんじゃないかということ。

ただ一方で、人懐っこくなければ、あの日、彼女と僕に動物病院に連れて行かれることもなく、その後、保護猫として引き取られることもなかったのだが。

ノラの一生は厳しく、複雑。とにかく少しずつでも元気になって、何とか生き続けて欲しいと思っている。 

2025-12-11

ホームに降りたら、熱い一杯のコーヒー

新横浜駅の新幹線ホームに、スターバックスの店が登場した。

今日立ち寄ったとき、店のスタッフと話してみると、「新幹線ホームのスターバックスは世界初なんですよ」と言われてちょっとびっくり。

帰宅して少し調べて見ると、ネット上のニュースでは「日本発」となっている。ただ、「新幹線」は日本にしかないから日本発は世界初と言ったのも嘘ではないかな。

この「Brewed to Go」と名づけられた店は、下りホームにしかない。新幹線の停車時間にコーヒーを買うのは無理だから、利用できる客は新横浜から新大阪など西へ向かう乗客と僕のように東京から乗ってこの駅で降りる客だけ。

商売を考えたら、ホームはホームでも東京駅に設置した方が確実に儲かる。ただ、客が多すぎて混雑してオペレーションが難しくなる。その点、新横浜駅の乗降客は東京駅とは比較にならないから、パイロット店としては好ましいのかもしれない。

新横浜駅は駅ビル内にスタバが2階と3階の2店入っているので、そこへ行けばいいだけなんだけど、ホームで降りてすぐ熱い一杯のコーヒーというのも今のところ悪くない。 


2025-12-10

SNSを使用禁止にしたらいい

オーストラリアでは明日から16歳未満のSNS利用が禁止される。大変結構なことだと思う。これは、かの国では大人たちが子供たちのことを真剣に考えている証拠だ。

禁止対象となるのはインスタグラム、フェイスブック、スレッズ、スナップチャット、ユーチューブ、ティックトック、キック、レディット、ツイッチ、X(旧ツイッター)の10のプラットフォームである。

登録時の年齢を偽ったりするなど抜け穴もあるようだが、いずれにしても多くの子供たちがSNSを使わなくなることで救われるはずだ。

そして、オーストラリア以外に同様の措置を検討している国もニュージーランドや欧州のなかから次々出てきている。


さて日本はどうかというと、今のところそうした規制への動きはない。政治家も官僚も子供たちが苦しもうが犯罪に巻き込まれようが、知ったことじゃないのか。

ボクは、日本ではSNSを完全に使えなくしてしまえばいいと思っている。つまり、年齢を問わずだ。自分がSNSと呼ばれるものをやっていないからというのもあるが、SNSをやって得られるプラス面と、そのことで個人や社会が被っているマイナス面を考えたとき、はるかにマイナスの方が大きいと考えるから。

若い人たちのなかには、SNSが使えなくなると友達とのやりとりができなくなると心配する人たちがいるが、以前はもともとSNSなんてなかった。連絡が必要な時は、普通に電話をした。それでいいじゃないか。なんなら手紙を書いたっていいんだよ。Eメールもあるし。

もし国民すべてにおいてが無理であれば、まずは未成年のSNS利用を禁止すればいい。オーストラリアや他の国が16歳未満と言うのであれば、日本では20歳未満というのが妥当なところだろう。

まずは1年やってみて、どうなるか見てみればいい。最初は不便だとかなんだとか不満も多いだろうが、どうせすぐに慣れてしまうはず。

自分だけSNSが使えなくなると友人間のやりとりで除け者にされ、たちまち阻害感を抱いてしまうような若い人たちも、周りも一斉に使えなくなればそんな心配をする必要もない。

SNSを運営する企業は、そうした規制に対して「言論の自由を犯すものだ」などとやけに大げさな言い方で反発してるようだが、ただ彼らの商売のネタが一つ無くなるだけの話で説得力はない。

オーストラリアのアルバニージー首相は、「これは、『もうたくさんだ』というオーストラリアの意思表示だ」と述べる。また「オーストラリアが世界をリードしてきたほかの偉大な改革とともに、これが受け入れられるだろうと、私は考えている」とも。

赤信号みんなで渡れば怖くないんじゃないが、日本でもSNSなんてみんなでやめてしまえばよいのだ。それが、ささやかながら今の日本を少しでも明るくする方法のひとつであることは間違いない。

2025-12-09

The 67 Most Stylish People of 2025

ニューヨーク・タイムズが、The 67 Most Stylish People of 2025を発表。映画スターやラッパー、ロックスターなど多士済々で、スポーツ界からは数少ないなかでドジャーズの大谷翔平が選ばれているのが嬉しい。メキシコの大統領、クラウディア・シェインバウムも選ばれてた。

 
そのなかで、僕が一番気に入ったのがこの彼だ。これは、ニューヨークのメトロポリタン美術館のガラでの風景。すげえ笑える。