またぞろ、ヘンなカタカナ言葉を新聞などで目にするようになった。<リスキリング>という言葉だ。技術、技能を表す英語の名詞 skill がもとになっている。
新聞などで「リスキリング(学び直し)」と書かれているが、どうして「学び直し」じゃダメなのか。
その例としてよく紹介されるのが、米アマゾンの事例だ。同社は、2025年までに米アマゾンの従業員10万人に対しリスキリングすると発表した。一人当たり約75万円の教育投資を行うことで、非技術系人材を技術職に移行させる「アマゾン・テクニカル・アカデミー」、IT系エンジニアがAI等の高度スキルを獲得するための「マシン・ラーニング・ユニバーシティ」などを実施するとしている。
米アマゾン一社だけでも750億円の金が動くわけだから、それを目当てにリスキリングの旗を振り始めた有象無象が現れるわけだ。
日本では、日立製作所が国内グループ企業の全社員約16万人を対象にDX基礎教育を実施すると発表している。
教育関連企業やコンサルティング会社を中心に、「社長さん! リスキリングに乗り遅れてますよ、おたく」といったセールス・トークが方々でなされているのだろうが、何がどうなればリスキリングとやらが「できた」状態になるのか何も語られておらず、さっぱり分からないのが現状だ。
リスキリングを触れ回っている連中は、どうも「オオカミが来た!」と叫び、ナイーブな日本人を惑わしているだけのように見える。
企業にとって大切なことは、そうした流言飛語と見紛う扇動に容易に乗せられないこと。360度の情報を集めて状況を判断し、自分の頭で何をやるべきか考えること。それができない人たちは、またしてもカモにされて終わるだけである。
だいたいが、事情通を気取ってこうしたカタカナ言葉を振り回す連中にろくな奴はいない。
リスキリング(学び直し)に乗せられようとしている経営者は、まずはリシンキング(考え直し)した方がよいと思うよ、ほんと。