2016年10月16日

プラネタリウム男

今朝の「木村達也 ビジネスの森」のゲストは、『プラネタリウム男』(講談社現代新書)を出されたプラネタリウム・クリエーターの大平貴之さん。


日本で唯一のプラネタリウム・クリエーターを名乗る大平さん。子どもの頃から大のプラネタリウム好きで、中学時代には既に自作のプラネタリウム投影機を手作りしていたというから驚きだ。

現在製作しているプラネタリウムの投影機は、メガスターと名づけられている150万個もの星を投影可能という世界でも最先鋭のもの。

従来の従来のプラネタリウムは1万個ほどの星しか映すことができなかった。その数は、人間の肉眼で見えるはずの星の数だとか。理屈で考えれば、肉眼で見える星をプラネタリウムでも見えればいい、というのがそれまでの考え。それに疑問を持ったのが、中学時代にオーストラリアで頭上に瞬く満点の星を見て心を振るわせた大平少年だった。

一つひとつは肉眼では見えなくても、そうした見えない星も無数に集まると薄明るく見える。天の川がそうだ。肉眼では見ることができない7等星、8等星、9等星などの無数の星が空を埋め尽くしていて、それらがあるから夜空の奥行きを感じることができる。

そうなんだ、目に見えるものだけが存在しているわけじゃない。個々にはその存在をはっきりと見ることができなくても、そうした無数のものがあることで拡がりと奥行きができる。星だけじゃなく、そうしたものは僕らの世界にたくさんある。

今朝の選曲は、デヴィッド・ボウイの「スターマン」。

2016年10月2日

ビールで地域をつなぐ

今朝の「木村達也 ビジネスの森」の番組ゲストは、『つなぐビール』(ポプラ社)の著者で、ベアレン醸造所専務取締役の嶌田洋一さん。 岩手県盛岡市にある地ビール(クラフトビール)の会社を友人の方と13年前に立ち上げた。


「ベアレン」は、ドイツ語で熊の意味の複数形。岩手県には熊がたくさんいるし、力持ちのイメージもあってブランド名をベアレンにしたという。

ベアレンのビールは、日本外国特派員協会が「世界に伝えたい日本のクラフトビールベスト8」の選考でそのグランプリに選ばれたという優れもの。僕も盛岡から取り寄せて、3種類のベアレンビールを前日に味わったのだが、本当に良くできたおいしいビールだった。

日本で地ビールが生まれたのは、1994年の規制緩和がきっかけである。それまで日本製のビールは大手4社が圧倒的だったのが、90年代後半はまさに地ビールブームといってもよい時代だった。その頃、数多くの地ビールが生まれ、その後なくなってしまった地ビールも多いらしい。

そうした、いわばブームが去ったころに、嶌田さんは現在の社長である木村さんと一緒にビール会社を立ち上げた。

事業を立ち上げる前の時期、全国の地ビール会社を見学で数多くまわったという。そこで、彼らはビール工場を一歩出ると、その地ビールがどこにもないようなことが気になった。工場の向かいの酒屋さんにも置いていなかったりして。店の人に聞くと「あれは、工場に来た人たちしか飲まないから」と。地域とのつながりが大切なことを感じたという。

その時代、地域の特産品的な「変わった」「尖った」地ビールが多かった中で、彼らはとにかくおいしいビールを造りたいと考えた。

ビールは鮮度が大切。その意味では、生産地と消費地が近いのが理想的。おいしいビールを楽しめる。そのためにも地域コミュニティとの結びつきが必須と嶌田さんたちは感じた。

 「ビールは本当に面白い」と嶌田さん。麦芽とホップと酵母と水の組み合わせだけで、無限の液体を生むことが出きるからと。ますますおいしいビールを造ってほしいと思う。


今朝の一曲は、ジャニス・ジョプリンで Move Over。



*番組の放送曜日と時間が変更になりました。10月からは毎週の日曜日朝9:20からになりました!

2016年9月24日

スマホ断食、できるかな

今朝の「木村達也 ビジネスの森」(NACK5、8:15から)は、先週に引き続きゲストに作家の藤原智美さんをお招きして、彼が最近出された『スマホ断食』(潮出版社)をもとに対談をさせてもらった。



藤原さんをこの番組のスタジオにお招きするのは約2年ぶり。その時に番組で取り上げた本は、『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』(文藝春秋)。その本のあとがきの最後の一文で、彼は「これからネット断食に入ります」と宣言されていた。

ネットからスマホへ表現が変わったのは、藤原さんにとってもスマホの持つ意味がこの2年あまりで格段に大きくなったってことなんだろう。

ネットに依存し、ネットでつながっていることで初めて、自分が今ここで生きていることを確認できているというような若者が増えて来ているような感じがする。アイデンティティが自分の中にあるんじゃなくて、他人との関係(つながり)、図で描くと自分と相手を結んだ双方向の矢印の上あたりにアイデンティティがあるような印象と言っていいかもしれない。

もちろん藤原さんは、自我をそうしたずれた位置にもっているようなことはないのだが、彼にしてもネットサーフィンであっという間に気がついたら時間を奪われていた、ことがしばしばあるとのこと。

そうした状況から自分を引きはがす彼なりの1つの手立てが「スマホ断食」。月に一度ほど、金曜日の夜から月曜日の朝までスマホを断つというもの。まあ、プチ断食である。

でも、その効果ははっきりあるようで、その断食後もしばらくはスマホを手にする機会が減るという。

確かに、電車の車中などで見かける若い人たちがスマホべったりという、ある意味でフロイト的にその対象と自分を切り離すことができていない状況を見るにつけ、理屈ではなく習慣としてスマホから離れる機会を作るのは必要であると思ってしまう。

たかがスマホ、されどスマホなのである。これが現実。

先週、今週の選曲は、Kansus "Dust in the Wind" と The Moody Blues "Nights in White Satin"。




2016年9月16日

十五夜の月

昨日は9月15日、中秋の名月だった。だけど、お月さんがまん丸になる十五夜は今日、9月16日。先日行った川崎市のプラネタリウムで解説者の方に教えてもらった。

で、バルコニーから満月の撮影を試みた。あいにくの曇り空で、スッキリとは行かなかったのが残念。


2016年9月13日

生田緑地のプラネタリウム

川崎市の生田緑地にある「かわさき宙(そら)と緑の科学館」を初めて訪ねた。

 ここのプラネタリウムの投影機は、プラネタリウム・クリエーターの大平貴之さんが開発したMegastar Ⅲ Fusion が設置されていて、世界最高レベルの星空が見える。光学式とデジタル式の両方の投影法を兼ね備えた機械で、実に奥行きの深い、そして自然な感じの星空を眺めることができる。

実は今度、僕のラジオ番組にゲストとして大平さんをお呼びするので、それに備えて彼の開発した最新式のマシンを見ておきたかったのだ。

プラネタリウムを訪ねたのは、実に久しぶり。今はなき渋谷東急文化会館屋上の五藤プラネタリウム、改築になる前の池袋サンシャインのプラネタリウム以来だ。あ、ニューヨークのアメリカ自然史博物館でもプラネタリウムを楽しんだことがあるのを忘れてた。そこは、ニューヨークでの僕の絶対のお薦めスポットだ。

日本のプラネタリウムだが、ゆったりとした解説員の生の解説が好きだ。基本的なシナリオはあるのだろうけど、その日に多い観客のタイプやその時期の出来事などを考慮しながらライブ感のある、そして親しみを感じさせる説明をしてくれて楽しい。ほんとにリラックスできる。


2016年9月8日

湖へ

何度目になるだろうか。レイキャビクに来てから、朝となく夕となく、時間があるとホテルから歩いて10分くらいのチョルトニン湖の周辺を散策するのが日課のようになっている。

日本語のガイドブックには、チョルトニン湖と書いてあるけど、現地の地図ではチョルトニン・ポンド、つまり湖でなく池。それに何かびっくりするようなものがある訳じゃないんだけど、ただその周りを散策してるだけで幸せな気分になる。なぜだろう。

夕暮れ後、うす闇の光のなかのチョルトニン湖

2016年9月7日

9月でもオーロラ

レイキャビクから北へ2時間半ほど行ったところ。周りに何もない高原(らしき場所)でオーロラを追う。まだ9月なのでほとんど期待していなかったが、幸いに深夜0時頃オーロラのダンスが天空に現れた。風が、凍えるように寒い。

右から2人目が僕。寒かった

2016年9月6日

東京都中野国

現在滞在しているアイスランドの全人口は、わずか33万人。所沢市(埼玉県)や前橋市(群馬県)、郡山市(福島県)の人口とほとんど同じである。また都内の新宿区、中野区、北区のそれぞれの区民数も似たようなものだ。

つまり、中野区に相当する数の住民が、北海道よりいくらか大きな土地に暮らしているのがアイスランドという国だ。ただ、内陸部のほとんどは人が住めない氷河や火山地域のため、33万人の国民のほとんどは沿岸部のいくつかの地域に集中して暮らしている。

そんな「小さな」国だが、当然ながら議会も行政府も裁判所もある、れっきとした一つの国だ。33万人の国に、大学が7つある。僕たちは、中野区に7つの大学があるのを想像できるだろうか。小学校から高校まで授業料は無料。大学も国立は授業料がタダらしい。

国際線と国内線の航空会社も飛んでいる。テレビ局も2局ある!

日本と同じ島国で、彼らの主な産業は水産業、観光業、アルミニウムの精製(電気代が安いから)といったところ。よく財政がまわっていると感心する。

確かに物価は高い。多くのものを輸入に頼っているから仕方ない。ホテルも高い。食事も高い。観光関係の様々なサービスもとても高い。それらで外貨を稼いでいる。

ドライブインのハンバーガーセットが1700クローネ(約1600円)

観光客としては懐が痛いところだが、だけどだからこそ、貧乏旅行を狙った連中は来ない。そこはいい。一人ひとりの観光客が、しっかりお金を落としてくれる。

いいか悪いかの議論は置いておくが、アイスランドにはファストフードの店はない。コンビニもない(よる11時まで開いている食料品店は見つけた)。飲み物の自販機も見たことがない(安価な電気代を考えれば、アイスランドこそ自販機があってもおかしくないのだろうが)。だから、街の景観が実にすっきりしている。きれいなのだ。

日本が、この極小の国から学ぶことは多い。

レイキャビク市の南に拡がる住宅地。海沿いに広大な芝生が拡がっている。


2016年9月5日

アイスランドは火山と氷河の国だから

朝に夕に、時間があるとレイキャビク市内のチョルトニン湖を散歩している。周りの遊歩道も、方々に拡がる芝生も実に気持ちがいい。

その近くで日産リーフの充電スタンドを見つけた。書かれている説明はアイスランド語なので読めないが、専用のカードで簡単に充電できるようだ。



アイスランドは電力供給の3割を地熱で、残りは水力だ。電気代はとても安い。

2016年9月4日

トロールはトトロの親戚だろうな、きっと

アイスランドのスナイフェルトネス半島へ。あいにくの天気で山頂の氷河は眺められなかったが、海岸近くで石積みの巨大な立像を見つけた。トロール(トロル とも発音する・・・トトロみたいだ)と呼ばれている、怪物(妖精)と人間の合いの子で、この地を洪水から守っていた守り神のような存在とされているとか。

スナイフェルトネス半島へ

朝食もそこそこに、スナイフェルトネス半島へ出かけた。レイキャビクから4時間ほどの距離。ここは、ジュール・ヴェルヌが小説『地底旅行』の舞台として描いた場所。数々の奇岩の風景に、地底世界の入口がここにあってもおかしくないような気になる。





2016年9月2日

High Waterfall


氷河に向かう途中、ヘリから撮った "The High Waterfall" と呼ばれている巨大な滝の遠景。アイスランドは、その一部が北極圏にかかっていて森林限界を超えているせいか、地形全体が溶岩でできているせいか、周囲にまったく木々が生えていない。これが地球か、と思わせる風景に息をのむ。


ヘリのフロントガラスまで水滴が飛んでくる。アイスランドで2番目に高い滝らしい。

2016年8月31日

ハットルグリムス教会

レイキャビクでもっとも高い建物がハットルグリムス教会である。ロケット型の独特の形をしている。この街のランドマークだ。

この教会の塔の展望台からは市内が一望でき素晴らしい。




2016年8月30日

レイキャビクの虹

アイスランドのレイキャビクに来ている。ホテルは、街のど真ん中。隣がインフォメーションセンターなので、いろいろと便利だ。

部屋から外を眺めたら、入り江に虹が架かっていた。


2016年8月27日

学校をつくろう

今朝の「木村達也 ビジネスの森」のゲストは、NPO法人アジア教育友好協会理事長の谷川洋さん。谷川さんが書かれた『奔走老人』(ポプラ社)を元にお話をうかがった。

谷川さんは、元丸紅の商社マン。60歳を区切りにきっぱりとサラリーマンを辞め、いまはアジアの山岳少数民族の村に学校をつくる活動を行っている。この12年間で270校ほどを立ち上げた実績がある。


谷川さんらの活動がユニークなのは、押しつけではないこと。作ってやるのではなく、「作らせてもらう」ところ。自分で現地をたずねて、学校が必要だと思う村を見つけ、そこの首長に学校をつくる提案と交渉をするところから彼らの活動は始まる。

学校の建設を持ちかける村は、決して豊かではない。子どもたちは学校で勉強するより、日々の労働力として求められている。そう考える大人たちを上手に説得しなければ、学校建設の話は前に進まない。

谷川さんらが学校があったらと思う場所には、文字が読める大人自体がほとんどいない。だから、よそ者からうまい話を持ちかけられて騙されたりした経験を持っている。

そこで、谷川さんが村の大人たちに話すのは、「学校が出来て、子どもたちが字が読めるようになれば、村人たちがよそ者に騙されないようにできる」ということ。こうした説得などで協力を取り付けるらしい。

実際の学校造りも独自のノウハウを生かして行っている。建設業者を送り込んで、ガンガンと工事して学校を建てることはしない。近くの町で大工の棟梁のような人物とその弟子のような人物を見つけて雇い、村に連れてくる。そして、彼に村人を指導してもらいながら村全体を学校をゼロから作っていく。

そうすることで、その学校は「村で建てた学校」になる。その後も修理なども自分たちの手でまかなわなきゃという意識ができる。

その後は、先生の手配だ。学校造りは、先生作りでもある。とにかく労を惜しまない。国の国際協力のように形式通りの予算を組んで業者にすべてやらせると、学校は村のものではなく、彼らからすると「どこからから持ち込まれたもの」になってしまう。

谷川さんは、いまもアジアの村に学校を作るのが楽しくて仕方ないという。そうだろうなあ。必要とされる学校を村人たちと一緒につくり、喜ばれ、役に立っているという実感を直接感じることができるんだから。


今朝の一曲は、エクストリームで More Than Words でした。


2016年8月15日

食えない魚


宇野港から島に渡る旅客船乗り場の近くに展示された魚のオブジェ。けっこうデカイ。使われている材料は、漂流物やゴミ。瀬戸内国際芸術祭の正式出展作品として制作、展示されている。
 

2016年8月14日

贅沢なレストラン

「海のレストラン」という名の島のレストラン。その名の通り、目の前はすぐ瀬戸内海。自家栽培のハーブと新鮮な海の幸を用いた料理を出してくれる。この島にはコンビニは一軒もない、信号もない。けれど、耳の奥をくすぐる波の音がある。

2016年8月13日

ペッパーと人間のあいだ

今朝の「木村達也 ビジネスの森」のゲストは、ソフトバンクのロボット「ペッパー」の開発責任者を務められた林要さん。現在は独立され、あらたなロボットの開発を進めておられる。


ペッパーの顔が、もう少し細長かったらかなり「怖い」顔になるらしい。耳がもう少し大きかったら気味が悪い顔になるという。生身の人間に近づいていくところで不気味とわれわれが感じる「不気味の谷」と呼ばれる領域があるという。その点でも、人型ロボットには微妙なデザイン調整が不可欠だ。

そういえばペッパーは、1927年に公開された、フリッツ・ラング監督の映画「メトロポリス」に登場してくるマリアという名のアンドロイドをどこか連想させる。

AI(人工知能)の進歩が凄まじい。学習することを学習し始めたAIが人間を多様な面で超えていくのは明らか。ディープラーニング(深層学習)で有名になったIBMのワトソンに、ペッパーのような人型ロボットが「端末」となってつながっていくことも間近なんだろう。

そうした世の中は、ユートピアかディストピアか。


今日の一曲は、ランディ・ヴァンウォーマーで、Just When I Needed You Most。


2016年8月7日

暦の上では秋

今日は立秋、夏至と秋分の中間である。暦の上では、今日から秋ということらしい。だけど連日の猛暑に、日中外を歩いていると血液が沸騰してくるような感じがする。まだまだ、夜になるまで時間がたくさんあって、いろいろ楽しめるのはいい。

2016年8月6日

龍口寺竹灯籠

片瀬江ノ島の龍口寺。境内の足下には青竹の灯籠が一面に並べられていて壮観である。5000基の灯籠は近所の人たちやボランティア、学生アルバイトが総出で準備した。竹灯籠を並べるデザインは、地元の中学生に図面を描いてもらったと教えてもらった。ここには、地域のお寺さんがしっかりと根付いている。