大道芸だから、見せ物料はただ。お代は出し物を見終わったあと、客が自分が金額を決めて回ってくる帽子などに入れる。僕もそうだが、こうした支払い方に日本人は苦手だ。幾ら入れてやるか、瞬時の判断に悩む。これはレストランやホテルなど、サービスを受けた際にチップを支払う習慣がないことが影響している。
いつも一瞬迷ったあと、たいていはその時ジーンズのコインポケットに入っているだけの小銭を出してやるか、あるいは千円札一枚といったところだ。
大道芸人ではないが、面白い帽子をかぶり、イヤリング代わりに金魚鉢をぶら下げているファンキーなおじさんに出会った。話しかけてみると気さくなおじさんで、一緒に写真をお願いした。
ひときわの人だかりを縫っていくと、金粉を全身に塗った舞踏団が踊っていた。不思議なような、懐かしいような。まだいたんだなあと、しばし感慨にふけながら鑑賞。
パフォーマンスが終わったあと、それまで演奏されていたアバンギャルドな音楽の演奏がいきなりチンドン屋風に一転し、それに合わせてダンサーたちが観客からお金を集金し始めたのには笑った。この切り替わりが一番面白かった。