今月4日からマンハッタンの中のいくつかの劇場を行われていたColumbia University Film Festivalが、昨日のFaculty Selects Film Screening & Awards Celemony で幕を閉じた。この催しは、今年で25周年目。
会場は西94丁目のSimphony Space。僕が今住んでいるビルの地下にある。
上映された作品は、コロンビア大学芸術学部(School of the Arts)大学院の映画専攻の学生たちが卒業製作でつくった15分程度の短編が中心だ。昨日は同学部の教員が選んだ7作品が上映された。どれも学生が作ったものとは思えない、なかなかの出来映えだった。
特に印象に残ったのは、Three Light Bulbsというタイトルの中国語の作品。中国人の女子学生が監督した短編である。脚本、製作、撮影監督、編集、出演のすべてが中国人(中国系)である。ロケ地は中国の地方都市。
若いエンジニアの女性が、生まれ故郷の中国の田舎町にソーラーパネルといくつかの機器を手に帰って来る。彼女の父親がいまも住む家には電気が来ていない。彼女と父親は折り合いが良くない。娘は年老いていく父親が気がかりなのだが、父親は彼女が母親が亡くなったときに帰郷しなかったことを許すことができず、今でもそのことで娘をなじる。
ほんの数日の滞在の後、娘はいま暮らしている都会へ帰って行く。その日、日が暮れた後、父親が畑仕事から帰ってくると部屋の中に裸電球がぶら下がっていた。娘が、持って帰ったソーラーパネルを屋根の上に設置し、バッテリーに電気が溜まるようにしていたのだ。父親は、その明かりを何度も点けては消し、点けては消す。彼女が父親と昔のつながりを取り戻した瞬間である。
短編映画の文法通りに作られたような作品ともいえるが、細部に神経の行き届いた完成度の高いフィルムであり、作り手の高い技量を感じた。